ケアプラン(介護サービス計画書)とは? ケアプランの概要、記入例、作成方法、注意点までを解説

2022.03.15

介護サービスを受ける際に、ご自身やご家族に適したサービスを選ぶのは難しく感じられる方も多いと思います。

 

そんなときに役立つのが「介護サービス計画書(通称、ケアプラン)」です。

「ケアプランってよく聞くけどどういうものなの?」という方も多いです。

 

いつ、どのような介護サービスを受けるべきか、介護の専門家が総合的に判断をしてくれるのが「ケアプラン」です。

 

「どういう手順で作成されて、どんな目的で利用されるのか知りたい!」と思われるかもしれませんが、介護保険サービスを利用するためには、事前にケアプランを作成しておくことが必要不可欠です。

 

それでは、ケアプランについて以下の流れで詳しく解説します。

 

・ケアプランとは。ケアプランの概要

・ケアマネジャーとはどのような人なの?

・ケアプランの作り方(依頼とセルフの違い)

・ケアプランに関する注意点

 

介護される方、また、家族に合った介護サービスを受けられるよう、ケアプランの基礎やポイントを押さえていきましょう。

ケアプランとは。ケアプランの概要

初めて介護サービスを受ける際に「老人ホームってどのような種類があるの?」「特別養護老人ホームとデイサービスどちらが良いか?」「福祉用具は買った方がよい?レンタルすべき?」など、迷う方は多いと思います。

 

そこで介護の方向性を決められるよう、「ケアプラン」という介護サービスの計画書を作成するのが有効です。

まずはケアプランの概要と種類について見ていきましょう。

ケアプランとは。ケアプランの概要

ケアプランとは介護サービスを必要とする人が、ご自身に合ったサービスを受けられるよう方向性をまとめた計画書です。

「入浴や食事のサービスを利用したい」「日中は家族が不在で面倒が見られない」など、介護サービスを利用したいと思うきっかけは人それぞれですので

 

・どのような支援が必要なのか?

・どのような生活をしたいと考えているか?

・そのために必要な改善点やサービスは何か?

 

など、介護の専門家である「ケアマネジャー」が中心となって要件をまとめ方向性を示します。

介護保険サービスを受ける「要介護者」「要支援者」のどちらもケアプラン作成は必須です。

 

・要介護者ケアプラン

・要支援者介護予防ケアプラン

 

上記の通り、ケアプランの対象者によって名称が異なるので注意が必要です。

なお、要介護者のケアプランは居宅介護支援事業所に属するケアマネジャーが、要支援者のケアプランは地域包括支援センターが中心となって作成しています。

参考:厚生労働省『介護サービス計画(ケアプラン)について』

 

ケアプランの種類

ケアプランには利用する介護サービスによって以下の3種類にわかれます。

 

居宅サービス計画書

施設サービス計画書

介護予防サービス計画書

 

「居宅サービス計画書」は、要介護1~要介護5の方を対象としたケアプランです。利用者の意向や支援の方針、サービス目標や期間などを総合的に計画しています。

 

「施設サービス計画書」も居宅サービス計画書と同じく、要介護1~要介護5の方を対象としています。

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

・介護老人保健施設

・介護療養型医療施設

という3つの介護保険施設に入所する方の状況を把握し、今後の目標・課題解決に向けて計画書を作成します。

 

「介護予防サービス計画書」は要支援1または要支援2の方を対象としています。介護はまだ必要がない健康な方が、将来介護が必要にならないよう介護予防サービスを利用するために必要となるケアプランです。自立した生活を送れるよう、介護予防や生活支援サービスの計画を立てます。

 

なお、生活支援サービスとは、訪問ヘルパーによる買い物支援や掃除といった生活全般のサポートを指します。

要介護認定や介護サービスの利用状況によって、作成するケアプランが異なることを知っておきましょう。

ケアマネジャーとはどのような人なの?

ケアプランの作成は、主にケアマネジャーと呼ばれる介護支援専門員が担当します。介護の専門家です。

それでは、ケアマネジャーの役割や業務内容について詳しく見ていきましょう。

ケアマネジャーの役割

ケアマネジャーは介護を必要とする利用者や家族からの相談を受け「課題解決に向けて計画を立てる」という役割があります。

 

またケアプランで立てた目標を達成できるよう、介護保険サービスを提供する事業者や医療従事者とのパイプ役として、目標達成のための調整を行う役割も担います。

ケアマネジャーの種類

ケアマネジャーには「居宅ケアマネ」「施設ケアマネ」という2種類があり、それぞれ役割が異なります。

 

・居宅ケアマネ:居宅介護支援事業所に属し、対象は在宅サービスを受ける利用者が多い

・施設ケアマネ:特定の介護施設に属し、その施設にいる利用者のケアプラン作成等を担う

居宅(在宅での介護)中心か施設中心かによって、受け持つケアプランの担当件数や業務内容が変わっていきます。

 

なお一般的に担当数は施設に属するケアマネの方が多く、施設の場合はケアマネジャー自身も介護業務に携わることもあるという特徴があります。

ケアマネジャーの業務内容

ケアマネジャーの業務内容は、「サービスを受ける前」と「サービスを受けた後」で分かれます。

それぞれの業務は以下の通りです。

 

【サービスを受ける前】

・介護を必要とする利用者、家族からの相談を受ける

・ケアプランを作成する

・要介護認定のための調査、相談受付など

 

【サービスを受けた後】

・サービス事業所や医療機関との連絡調整

・定期的なヒアリングおよび状況把握

・課題解決に向けた改善案の提案

 

サービスを受ける前の業務は、介護に関する相談を中心にケアプランの作成や調査などを行っています。

介護サービスの提供が始まると、ヒアリングや関連機関との調整を行います。自宅に訪問し、適切にサービスが提供されているか確認をすることも多いです。

 

また、紹介した以外にも「給付金の管理業務」「要介護認定等の申請代行支援」などケアマネジャーの仕事は多岐に渡ります。

ケアプランの作り方

ここからはケアプランの作り方を解説していきます。

 

・ケアマネジャーに依頼する場合

・個人で作成する場合(セルフケアプラン)

という2つで作成方法が異なるため、それぞれメリット・デメリットを含めて見ていきましょう。

①ケアマネジャーに依頼する場合

ケアプランをケアマネジャーに依頼して作成する場合、依頼者による自己負担はありません(2021年現在)

地域の居宅介護支援事業所に連絡をとり、担当のケアマネジャーがケアプランを作成する流れとなっています。

 

 

◆ケアプランの作成フロー

 

ここからはケアマネジャーに依頼した場合における、詳しいケアプランの作成フローを見ていきましょう。

 

居宅介護支援事業所にケアプラン作成を依頼

面談を行い、利用者の状況や希望要件を把握する(アセスメント)

介護サービス事業者との調整や話し合い

ケアプランの原案作成および確認

各サービス事業者と契約

サービス利用開始

定期的に訪問

 

上記の作成フローの中で必要書類を作成し、適切な介護サービスを実施できているか定期的に確認します。

 

◆メリット・デメリット

 

 

ケアマネジャーに依頼するメリットは、「専門的な知識・経験をもとに介護計画を立てられる」という点です。

一方、デメリットとして、希望要件や改善点を正しく伝えられず、不安を覚えてしまうことがあります。

ケアマネジャーが正しく意見をくみ取ってくれるか確認し、相性が合わない場合は担当を変えてもらうことも検討しましょう。ケアマネジャーは変更することが可能で、変更についての規定は、交わした契約書・重要事項説明書に記載されていますので確認しましょう。

 

② ケアプランを個人で作成する場合(セルフケアプラン)

ケアプランの作成フロー

 

ケアプランを個人で作成する場合は以下のフローで進めてみてください。

 

市区町村や地域包括支援センターの窓口で必要書類を受け取る

② 情報収集や単位計算を踏まえ、ケアプラン原案を作成

③ 利用者と家族、主治医など関係者を集めて「サービス担当者会議」を開く

各サービス事業者にて予約および契約

市区町村や地域包括支援センター窓口にてケアプラン提出

サービス利用開始

定期的にサービスの利用実績を報告する

 

これまで紹介してきたケアマネジャーの業務をすべて自身で進め、適切に実行していく知識・行動力が必要となります。

 

◆メリット・デメリット

ケアプランを個人で作成するメリットは、「納得できるケアプランを自分で作成できる」という点です。

 

何が必要か最も知るのは本人や家族であり、ご自身やご家族が納得するまでサービスを厳選できるため、安心感をもって生活できるのは大きなメリットといえるでしょう。

 

ただしデメリットとして、複雑な手続きや調整をすべて行うという大変さがあります。

他にも一から情報を得る必要があるため、サービス提供事業者との関係構築に苦労することも多いようです。

ケアプランに関する注意点

ケアプランは作成時と運用を開始してからでは注意点が異なります。

作成後に利用者本人や家族の要件に合わないということのないよう、注意点を見ていきましょう。

ケアプラン作成時の注意点

希望要件や不安を具体的に伝えケアプランを作成しましょう。

ケアマネジャーは介護の専門家ですが、利用者や家族についてすべてを知っているわけではありません。

 

個人の状態や希望をくみ取ってもらうために、より具体的な意見を伝える必要があります。

 

・現在日常生活で不安に思っている部分はなにか?

・困っていることはなにか?

・今後どんな生活を送りたいか?

・かかりつけ医から受けた指示など

 

上記を中心に、「トイレに手すりがないから1人だと不安」「料理をしたいけど買い物に行くのが大変」「好きなこと、楽しみなこと、これからやってみたいこと」などケアマネジャーが希望要件をイメージできるように伝えましょう。

ケアプラン運用時の注意点

ケアプラン運用が開始されたら、以下に注意してください。

 

・ケアプラン通りに実施して生活は改善されているか?

・自己負担額に認識の違い、問題はないか?

・不安に感じている箇所はないか?

 

サービスが開始され初めてわかることや、新たな悩み、問題が生じることもあります。

サービス改善に向けて動いてもらえるよう、不安や改善してほしい点を定期的にケアマネジャーに相談するようにしましょう。

まとめ

ご自身に合った介護保険サービスを受ける上で、ケアプラン作成は必ず必要となります。

ケアプランはケアマネジャーか個人で作成するものですが、いずれも「利用者がより良い生活を送る」という目的をもって作成することが重要です。

 

最新のサービス情報や利用者の状態を把握しながら、ケアマネジャー任せにすることなく、協力してケアプランの内容を向上していくよう心がけましょう。

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