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2022.03.11
  • 介護にまつわるコラム

老老介護とはどのような状態? 困った時に助けてくてる先は? 解決方法などをご紹介いたします。

老老介護とは、どのような状態?

老老介護の割合が59.7%と過去最多にという厚労省調査からの発表がありました。高齢化が進む日本では、高齢者が高齢者を介護する老老介護が問題視されています。身体面・精神面の負担が大きく、共倒れしてしまうケースも多いようです。

 

しかし、老老介護や認認介護について「どういう意味なのか」「なにが問題なのか」を理解している人は少ないと思います。

そこで今回は、老老介護について詳しくご説明していきます。

 

・老老介護とは

・老老介護の問題点

・老老介護の解決策

・老老介護で頼りになるサービス

 

老老介護の問題点を理解し、介護への漠然とした不安を減らしていきましょう。

老老介護とは?

「老老介護」とは、65歳以上の高齢者を65歳以上の高齢者が介護する状態を表した言葉です。

 

まずは老老介護の実態や原因について、詳しく見ていきましょう。

老老介護状態とは

介護者と介護される側がともに65歳以上である場合が「老老介護」状態です。

 

厚生労働省による2019年の調査では、同居する介護者と被介護者の組み合わせは65歳以上×65歳以上である割合が「59.7%」。

40~49歳×65歳以上の割合は「5.1%」であり、高齢者同士で介護をする割合が多いのです。

 

出典:厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査の概況 IV.介護の状況』

 

また、介護者と被介護者が75歳以上×75歳以上の割合は「33.1%」でした。

こうした75歳以上同士の老老介護を「超老老介護」といい、身体面・精神面の負担は老老介護よりも大きいようです。高齢になるとともに体力が落ちていきますので当然な結果でしょう。

 

なお、老老介護における介護者は「同居人」が全体の58.7%を占めています。なかでも配偶者の割合は25.2%と高く、さらに介護者のうち65.0%が女性という調査結果もあります。

妻が夫の面倒を見る割合が多いのです。

老老介護になってしまう原因

なぜ老老介護が増えているのでしょうか?

 

老老介護が増加した原因は高齢化が進んでいることが挙げられますが「健康寿命と平均寿命に差があること」「核家族化が進んだこと」の2点が大きな要因です。

 

それぞれの原因について、詳しく解説していきます。

 

 

健康寿命と平均寿命に差がある

 

老老介護が増加した原因の1つ目は「健康寿命と平均寿命に差があること」です。

 

厚生労働省の発表によると、2016年時点での平均寿命・健康寿命は以下のようになっています。

 

【平均寿命】

男性:80.98歳 女性:87.14

 

【健康寿命】

男性:72.14歳 女性:74.79

 

【平均寿命と健康寿命の差】

男性:8.84  女性:12.35

 

出典:厚生労働省『令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(本文)』

 

 

 

平均寿命と健康寿命の差は、男性8.84歳、女性12.35歳と開きがありますが、開きがある期間は介護を要する可能性が高いでしょう。

 

医療の発達や食文化の変化により、平均寿命は年々延びています。平均寿命が高いということは医療の進歩と衛生的な生活環境が形成されていると判断、高齢化が進んでいるのは良いことかもしれません。しかし、平均寿命と健康寿命の差を縮められない限り、老老介護の増加傾向は続くでしょう。

 

 

核家族化が進んだ

 

老老介護が増加した原因の2つ目は「核家族化が進んだこと」です。

 

昭和、サザエさんの家庭のように三世代で同じ屋根の下で暮らすことも多い時代でしたが現在のライフスタイルは、小さな家族構成が多くなっています。厚生労働省によると、核家族とは「夫婦とその結婚していない子どもだけの世帯、夫婦のみの世帯や父親または母親とその結婚していない子どもだけの世帯のこと」と明示されています。

 

引用:厚生労働省『いっしょに検証!公的年金 用語集』

 

親と子どもが離れて暮らす「核家族化」が多くなると、当然のことながら面倒をみる「子供」がいないわけですから高齢者夫婦のみで介護をすることになり、老老介護へとつながってしまうのです。

老老介護の問題点

老老介護の問題点は、大きく以下の2種類に分けられます。

 

・体力面

・精神面

 

介護者・被介護者が共に倒れることがないよう、問題点について詳しく見ていきましょう。

体力面

当然ながら高齢になるとともに体力が落ちていきます。体力が低下した高齢者による介護では、身体面への負担が深刻化しやすいのです。特に頻度の高い「入浴介助」「排せつ介助」「移動・移乗介助」では、足腰への負担は大きくなります。ケアの仕方によっては、身体の状態を悪化させてしまうこともあるでしょう。

 

また、体力の低下によって転倒リスクが増え、被介護者にともに怪我をする危険性は高いです。

 

他にも、体力がないことで1度の介護に膨大な時間を要し、精神的なストレスにつながることもあります。

精神面

介護に要する時間が増えると、他者との交流や外出機会が減ります。外部の助けを借りることができなくなるため、1人で解決しなければならないというストレスにつながりやすくなります。24時間365日片時も目が離せないプレッシャーは相当なものです。

 

当然ながら自分の時間を捻出できず、リフレッシュできないことでや「介護うつ」につながってしまうケースも多いようです。

 

引きこもりがちになることで介護者の認知機能が低下してしまい「認知症」に。認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護している状態の「認認介護」につながってしまうリスクもあります。

 

次章でお伝えする解決策とあわせて、紹介した体力面・精神面の問題へ早めに対応することで回避しましょう。

老老介護の解決策

老老介護の解決策は以下の3つが有効です。まずは相談することにしましょう。

 

地域包括支援センターへ相談する

介護サービスの利用を検討する

施設への入居を検討する

 

具体的な解決策を知ることで、問題が深刻化する前に対応可能です。


地域包括支援センターへ相談する

老老介護の解決策1つ目は「地域包括支援センターへの相談」です。

 

地域包括支援センターは、地域に住む人の保健・福祉・医療・介護といったサポートを総合的に行っている機関で全国に5000カ所以上が設置されています。

 

それぞれの専門家が介護だけでなく、生活に関する相談にも柔軟に応じてくれます。

地域によって呼び名が異なる場合がありますので詳細は行政のホームページや、市区町村に問い合わせてみましょう。

 

各地域に住んでいる65歳以上の高齢者であれば、誰でも無料で相談できます。

高齢者のための総合相談窓口として利用できますので、窓口で困っていることを相談し「必要なサービス」「利用可能な制度」などを紹介してもらいましょう。


介護サービスの利用を検討する

老老介護の解決策2つ目は「介護サービスの利用」です。

 

介護サービスには「介護保険サービス」と「介護保険適用(自費)サービス」の2種類があります。

 

介護サービスは、要介護認定等の条件を満たせば利用できます。上記以外のニーズがあれば、全額自己負担の自費サービスにて利用可能です。

 

プロの介護士によるサービスを利用すれば介護者の時間が作れ、息抜きできたり、介護の悩みを相談できたりといったメリットが得られます。

「水曜日はデイサービスを利用する」「訪問介護やショートステイなどの組み合わせができる小規模多機能居宅介護を利用する」といった細かな調整も可能なので、まずはどんなサービスがあるか情報収集してみましょう。

アンサンブル、ファミニューにもご相談ください。お気軽にお問合せください。


施設への入居を検討する

老老介護の解決策3つ目は「介護施設への入居」です。

 

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養と呼ばれることも)

・介護老人保健施設(老健と呼ばれることも)

・介護療養型医療施設

・介護医療院

 

上記の介護保険施設に加え、有料老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅といったさまざまな施設があります。

 

介護施設に入居すれば1365日休むことなく、1日を通してプロの介護士に任せることができます。介護サービスの一部利用と比較すると、介護者の負担は大きく軽減するでしょう。

 

老老介護・認認介護によって共倒れになるリスクは十分にあるため、施設入居を選択肢として押さえておくと、精神的な余裕につながります。

 

介護についてはたくさんの方が悩まれています。ましてや老老介護といわれる65歳以上の高齢者を65歳以上の高齢者が介護する状態だと、身体面・精神面の負担は大きいです。

もっと早く相談すればよかった、と言われる方も多いです。

 

老老介護で頼りになる介護サービス

ここからは「老老介護で頼りになる介護サービス」を4つ紹介していきます。

 

・デイサービス

・ショートステイ

・訪問介護、訪問看護

・介護施設(老人ホーム)

 

より詳しくサービス内容を確認し、安心して利用できるよう準備していきましょう。

デイサービス

老老介護で頼りになるサービス1つ目は「デイサービス」です。

 

デイサービスは通所介護の1種で、日中介護サービス施設に自宅から通う形態です。主なメリットは以下のとおりです。

 

・自宅にこもりきりになるのを防ぐ。社会的孤立感の解消

・運動、体操、リハビリ等の実施による心身機能の維持

・家族や親族などの介護者の介護負担を軽減する。

 

 

食事・入浴・排せつといった身体介護だけでなく、レクリエーションやリハビリテーションを受けることができます。他の被介護者とコミュニケーションをとることにより社会性も構築できます。

ショートステイ

老老介護で頼りになるサービス2つ目は、「ショートステイ(短期入所生活介護)」です。

一時的に宿泊を伴う介護サービスを利用したいというニーズに応えたサービスで、特別養護老人ホーム等の施設が短期間の入所を受け入れ、介護サービスを提供します。

 

食事・入浴・排せつといった身体介護、レクリエーション等のサービスを受けられますが、連続で30日までしか利用できない点に注意しましょう。(介護度によって介護保険内で利用できる日数は異なります。)

訪問介護

老老介護で頼りになるサービス3つ目は、「訪問介護(ホームヘルプ)」です。

 

訪問介護ではホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、必要なサービスを提供します。

高齢者が自立した在宅生活を送るために生活をサポートするサービスです。

具体的な内容は、食事・入浴・排せつなどの「身体介護」、洗濯・清掃・買い物支援などの「生活援助」、通院時の送迎や受診手続きのサポートなどの「通院介助」です。

訪問看護

訪問介護と同様の在宅サービスに「訪問看護」があります。

 

訪問看護では看護師が自宅を訪問し、状況に応じて以下のようなサービスを受けられます。

 

・血圧、脈拍、体温などの測定、病状のチェック

・排泄、入浴の介助、清拭、洗髪

・在宅酸素、カテーテルやドレーンチューブの管理、褥瘡の処理、リハビリテーション

・在宅での看取り

 

引用:厚生労働省『介護サービス情報公表システム どんなサービスがあるの?訪問看護』

介護施設(老人ホーム)

老老介護で頼りになるサービス4つ目は「介護施設(老人ホームなど)」です。

 

「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「グループホーム」などの介護施設は、介護保険制度により原則1割()の費用でサービスを利用できます。

所得によって最大3割まで

 

また、「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」といった施設でも「特定施設入居者生活介護」の指定を受けることで介護保険が適用されます。

 

ただし、入居費用や入居条件は施設によって異なるため、入居を検討する際は施設やケアマネジャーへ問い合わせましょう。

まとめ

介護者・被介護者ともに65歳以上の老老介護や、介護される方、する方が認知症である認認介護は、高齢化が進む日本において現在社会問題化されています。

 

・お互いが介護状態になるのを防ぐこと。バランスのとれた食事や定期的な運動を行い、健康に気を配りましょう。

・同居人以外の家族と密に連絡をとる。夫婦間や子供、親戚に事前に相談をしておきましょう。

・介護サービスの理解を深め、いざというときは地域包括支援センター等に相談できるようにしましょう。

 

他にも様々な対策がありますが、老老介護・認認介護の問題を早めに対処することが重要です。

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